バリアフリーリフォームの種類・費用相場・補助金について紹介!

高齢者が家庭内でケガをする主な原因は、住環境の障壁にあります。筋力や感覚の衰えにより、住み慣れた家でも転倒や躓きが起こりやすくなります。バリアフリーリフォームは、こうしたリスクを軽減し、高齢者が安全に快適に過ごせる環境を作るために重要です。また、介護が必要になった際には、介助者にとっても快適な空間を提供するというメリットがあります。

本記事では、バリアフリーリフォームの重要性や具体的なリフォームの種類と費用相場、リフォーム時の注意点や補助金制度について詳しく解説します。ぜひ参考にして、安心で快適な住まい作りに役立ててください。

 

1. バリアフリーリフォームの重要性

高齢者がケガをする場所の多くは自宅だと言われています。誰もが高齢になると筋力や感覚が衰え、例え住み慣れた家の中でも、ちょっとした段差で躓いたり、バランスを崩して転倒したりしやすくなるためです。高齢者のケガや事故を防ぐためには、家の中の障壁(バリア)を取り除くバリアフリーリフォームが重要になります。

バリアフリーリフォームをすると、高齢者の方に介護が必要になった場合に、介助者である家族やヘルパーさんにとっても快適になるのがメリットの1つです。

 

2. バリアフリーリフォームの種類と費用相場

バリアフリーリフォームの重要性が分かっても、具体的にどのようなリフォームを行えばよいのかピンとこない方も多いのではないでしょうか。一口にバリアフリーリフォームと言っても種類はさまざまで、施工内容によって費用も変わります。

今回は、代表的なバリアフリーリフォームの例と費用相場について紹介するので、参考にしてください。

 

2-1. 手すりの設置

手すりの設置は、代表的なバリアフリーリフォームの1つです。高齢者は段差がある場所はもちろん、平坦な場所でも移動が困難になるケースが少なくありません。そのため、歩いたり何か動作をしたりするポイントに手すりを設置することで、転倒事故を予防できます。

バリアフリーリフォームで手すりを設置するポイントの例は以下の通りです。

  • 階段
  • トイレ
  • 浴室
  • 廊下
  • 玄関

手すりは使う人の身長や動作を考慮し、使いやすい太さのものを適切な位置に設置することが重要になります。

手すり設置工事の費用相場は約1~10万円です。設置する手すりの長さや量によって費用相場は大きく異なります。

 

2-2. 段差・階段の解消

高齢者の方にとって、階段の上り下りは負担が大きく、事故のリスクが高い行為となります。階段を使いやすくする対策の1つが、階段の勾配を変更することです。階段の勾配を緩くする工事の費用相場は約50~100万円となっています。また、階段の床材を滑りにくいものに変えるだけでも上り下りのしやすさは変わります。階段の床材変更の費用相場は約1~3万円です。

玄関などの大きな段差はもちろん、室内にある小さな段差も高齢者の転倒事故の原因になり得ます。大きな段差をスロープを使って解消する場合の費用相場は約5~45万円です。屋内の細かな段差については床の底上げを検討する必要があり、費用相場は場所などにもよりますがおおむね5~25万円になります。

 

2-3. 水回りのリフォーム

トイレや浴室といった水回りは使用の際にさまざまな動作が必要になるため、高齢者の転倒事故が発生しやすいポイントです。トイレのバリアフリーリフォームの内容としては扉の交換や和式トイレから洋式の便器への変更などが挙げられ、費用相場は約5~50万円となります。

お風呂は、濡れた床を歩行するときや立ち上がったり座ったりするとき、浴槽をまたぐときなど転倒につながるタイミングが多く、特に注意が必要です。リフォームの費用相場は以下を参考にしてください。

滑りにくい床材への交換 約4~20万円
浴槽の交換 約10~150万円
浴室の拡張 約15~250万円

また、お風呂でのヒートショックを防ぐために、浴室暖房機の導入も有効です。浴室暖房機を設置する際の費用相場は約9~25万円になります。

 

2-4. 扉のリフォーム

押したり引いたりといった動作で開閉する開き戸は、足が追い付かずに挟まるなど、高齢者の事故につながりやすいポイントです。一方、引き戸であれば最小限の動きで楽に扉を開閉できます。また、引き戸は車椅子移動の邪魔にならないため、バリアフリー化という観点では開き戸よりも引き戸のほうが望ましいとされています。

扉のリフォーム費用の相場は約10~50万円です。扉を引き戸にしておくと、万が一扉の向こうで高齢者が転倒した場合でも、脱衣所側から扉を開けて救出しやすいというメリットがあります。スペースの問題で引き戸の設置が難しい場合は、扉を折り畳むように開閉する折り戸の設置を検討するとよいでしょう。

 

2-5. 照明の改善

バリアフリーリフォームを考える際には、高齢者の視覚の衰えも考慮することが大切です。加齢による視覚の衰えは、単純な視力の低下として現れるだけではありません。光や明るさに鈍くなり、薄暗い場所での見えにくさが顕著になるケースが多くあります。

ただし、照明をすべて明るくすればいいというわけではないため注意が必要です。高齢者によっては眩しさを感じやすい方もいるほか、明るすぎる照明は目に不快で、かえって生活を不便にしてしまいます。薄暗い玄関や勝手口、夜間にトイレに行きたくなった場合の足元など、必要な場所に適切な照明を設置することが大切です。

照明を自分で購入・設置した場合、費用相場は約2千~1万円となります。

 

2-6. 廊下幅の拡張

一般的な住まいでは、廊下の明るさや広さがあまり考慮されていないケースも少なくありません。高齢者が手すりや車椅子を使って安全に廊下を移動するためには、廊下幅は80~90センチ程度必要になります。

廊下幅の拡張工事にかかる費用相場は約30~150万円です。廊下は寝室や浴室、トイレなど部屋間の移動で必ず通る場所なので、狭い場合は多少リビングの広さを犠牲にしても拡張するのがベターと言えます。

 

3. バリアフリーリフォームには補助金制度がある?

バリアフリーリフォームを行う場合、国や自治体が提供している補助金制度や減税制度を活用できる可能性があります。以下はバリアフリーリフォームで利用できる主な制度の一例です。

・介護保険

家庭内に要支援・要介護の認定を受けた方がいる場合、一定の条件を満たすことで、バリアフリーリフォームを行う際に介護保険から工事費用の一部補助を受けられます。

・長期優良住宅化リフォーム推進事業

国土交通省が定める「長期優良住宅」の基準を満たした場合、補助金を受けることが可能です。

・所得税・固定資産税の控除

バリアフリーリフォームに加えて一定の条件を満たした場合、所得税の控除や固定資産税の減額を受けられる可能性があります。

出典:厚生労働省「介護保険における住宅改修」

出典:国立研究開発法人 建築研究所「長期優良住宅化リフォーム推進事業」

出典:国税庁「No.1220 バリアフリー改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)

上記のほかに、地方自治体ごとに独自の補助金・助成金制度が設けられているケースもあるため、事前にチェックしておくのがおすすめです。

 

4. バリアフリーリフォームを行う際のポイント

以下では、バリアフリーリフォームで失敗しないための注意点を3つ紹介します。

・対象者の状況を考慮して工事内容を考える

対象者によって状況は異なり、必要な工事も変わります。対象者に本当に必要なリフォームは何かを考え、身長や身体能力の特性なども加味した上で工事内容を検討しましょう。

・同居する家族にとっての住みやすさも考慮する

例えば、子どもが小さいうちに手すりを設置すると、子どもが手すりに頭をぶつけてケガをする恐れがあります。高齢者本人だけではなく、同居する家族全員にとって住みやすいリフォームを考えることが大切です。

・複数業者から見積もりを取る

信頼できるリフォーム業者を探すためにも、複数業者から見積もりを取りましょう。見積金額はもちろん、相談した際の業者の印象なども判断材料にするのがおすすめです。

また、焦って工事を進めると失敗に気付けない恐れがあるため、バリアフリーリフォームをする際には余裕を持って早めに計画するとよいでしょう。

 

まとめ

バリアフリーリフォームは、高齢者が安全で快適に暮らせる環境を整えるために重要です。手すりの設置や段差の解消、水回りのリフォームなど、具体的なリフォーム方法とその費用相場を把握することで、適切な対策を講じることができます。

また、補助金や助成金制度を活用することで、経済的な負担を軽減しながらリフォームを進めることが可能です。リフォームを計画する際には、対象者の状況や同居する家族のニーズを考慮し、信頼できる業者と連携することが重要です。焦らず余裕を持って計画を立て、安全で快適な住まい作りを目指しましょう。