子供が成長するにつれて、家庭内でより広い生活スペースが必要になったり、プライバシーの確保が求められたりするようになります。子供部屋は、子供が親から離れて過ごせる空間であり、勉強に集中したり、異性の家族や兄弟姉妹と違う場所で着替えたりできる場です。自宅を子供の成長に合わせてリフォームし、後から子供部屋を作ることで、スペースを有効活用できます。
この記事では子供部屋リフォームのメリットや費用相場、リフォームするときの注意点について解説します。
1. 子供部屋リフォームとは?
子供部屋リフォーム(子供部屋リノベーション)とは、自宅に新しく子供部屋を作ったり、部屋を子供部屋に改装したりする目的で行われるリフォームのことです。
リフォームのタイミングは、子供が小学校高学年になったときや、成長に伴って両親と一緒の部屋で過ごすのが手狭になったときに行うのが一般的です。思春期に入る前にプライベートな空間を確保すると、子供が親離れしやすくなると言われています。
また、異性の兄弟姉妹がいる場合は、下の子供が小学校に上がったタイミングで部屋を分けると、性差による子供のストレスを軽減しやすくなります。
1-1. 子供部屋リフォームのメリット
子供部屋リフォームには以下のようなメリットがあります。
・スペースを有効に使える
子供が小さいうちは共有スペースで過ごす時間のほうが長いため、わざわざ子供部屋を作っても活用されない可能性があります。子供の成長に合わせて本当に必要になった時にリフォームできれば、子供部屋スペースを無駄にしないですみます。
・子供のプライバシーを確保できる
小学校高学年になると、自分の部屋で着替えるようになる子供も増えます。年齢差があったり、性別が異なったりする兄弟と同じ部屋で過ごすことにストレスを感じる場合もあるでしょう。自分だけの空間を作ってあげると、安心して過ごしやすくなります。
・学習環境の改善につながる
小学校のうちはリビングなどの共有スペースで宿題をしていた子供も、中学・高校になると集中できる勉強部屋が必要です。リフォームによって個室を用意したり、身体のサイズに合った勉強机や適切な照明を設置したりすると、子供が集中できる学習スペースを整えられます。
1-2. 子供部屋リフォームのポイント
子供部屋のリフォームを成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
・子供の成長に合わせる
子供が成長するにつれて、子供部屋に必要な家具や、確保したほうがよい空間の大きさは変わります。将来の成長に備えて、高さやサイズを柔軟に変更できる家具を選びましょう。また、家具の交換がしやすいように、玄関までの導線を広くとっておくのもおすすめです。
・子供を孤立させない
子供のプライバシーを過度に重視して子供部屋を作ると、家族とコミュニケーションをする機会を失い、子供が自分の内側にこもってしまう恐れがあります。家族が自然に顔を合わせられるような動線を作る、ドアに小窓をつけるなど、必要に応じて互いの様子が分かるような工夫を取り入れるのがおすすめです。
・子供が巣立った後のことも考慮する
子供部屋が必要な期間は一般的に10~15年ほどです。子供が巣立った後、書斎やゲストルームとして利用できるようにあらかじめ間取りを計画しておくと、空間を有効活用できます。
2. 子供部屋リフォームの費用相場
子供部屋リフォームにかかる費用は、改修の規模や内容、施工会社によるので一概には言えません。目安となる価格帯は、以下の通りです。
施行内容 | 費用相場 |
---|---|
間仕切りの除去/1か所 | 約10万~25万円 |
間仕切りの追加/1か所 | 約25万~50万円 |
ドアの追加 | 約5万~25万円 |
ロフトの設置 | 約50万~65万円 |
小上がりの追加(3~4.5畳) | 約15万~25万円 |
壁・天井のクロス張り替え/1平方メートル | 約1,000~1,500円 |
フローリングの重ね張り(4.5畳) | 約3万~6万円 |
フローリングの張り替え(4.5畳) | 約4万~8万円 |
以下に具体的なリフォーム例を紹介するので、参考にしてください。
2-1. 仕切りを取り付ける
子供部屋に仕切りを取り付けて個室にする改修は、要望が多いリフォームの1つです。取り付ける仕切りとして、間仕切り壁を設置する方法と可動式の間仕切りを使う方法があります。
壁を設置する場合、しっかりした壁でプライバシーを保てるので思春期の子供に安心感を与えてくれます。ただし、あらかじめドアを2つ設置しておくか、新しくドアを追加することが必要です。
可変性のある間仕切りを設置する場合は、折りたたみパネルや可動式のパーテーション、ロールスクリーンを使う方法があります。閉塞感が少なく、全開するとほかの部屋と一体感ある空間を作れる点が特徴です。
2-2. ロフトを設ける
部屋数や広さが限られている場合、ロフトを設けて子供用のスペースを確保するリフォーム方法もおすすめです。子供用のベッドや遊び場、趣味の部屋になるほか、子供が巣立った後は収納スペースとして活用できます。
ただし、地域によってロフトに面積制限がある点には注意してください。また、はしごの安全性や冷暖房など空調にも配慮する必要があります。なお、マンションではロフトの設置が禁止されていることもあるので、規約の確認も必要です。
2-3. 小上がりを作る
小上がりとは床部分がほかより少し高くなったスペースを指します。高さをつけることで小部屋のような印象を与えられ、子供部屋や遊び場、収納場所、寝室などさまざまな用途に使えます。
リビングの一角に小上がりを作り、子供部屋にするのも1つの方法です。子供部屋にする場合は、間仕切りをつけたクローズタイプにして、プライバシーを確保することをおすすめします。
2-4. クロスを張替える
子供部屋に適切なクロスを選んで張替えることも、要望の多いリフォームの1つです。
子供が小さい場合は、傷や汚れがつきにくいものを選ぶことがおすすめです。アレルギーを持つ子供向けに、アレルギーの原因となる花粉などを吸着してくれる壁紙や防カビ機能付きの壁紙も売られています。
子供が喜ぶ色やデザインの壁紙をアクセントクロスとして取り入れるのも1つの方法です。ただし、あまりにも子供向けの色柄のクロスは、成長後に張り替えが必要になるケースもあるため、後々のことも考えて選ぶとよいでしょう。
2-5. フローリングを張替える
子供部屋のフローリングは、使っているうちに傷や汚れが付きやすいのが特徴です。子供が動き回っても傷や汚れがつきにくい製品や、遮音性に優れている製品がおすすめです。クッション性があるものを選ぶと、子供の安全にも配慮できます。
デザイン的にも壁紙や家具と合わせやすく、特に木目調のものは子供部屋の雰囲気を温かくしてくれるため人気があります。
フローリングの張替えには、新しい床材に張り替える方法と、既存の床材の上に新しい床材を重ね張りする方法の2種類があり、張り替えのほうが費用は高めです。
3. 子供部屋リフォームを依頼する際の注意点
子供部屋のリフォームを成功させるためには、いくつかの注意点があります。子供の成長段階を考慮に入れることや子供が巣立った後のプランを考えることはその例です。
そのほか以下のような点に注意しましょう。
3-1. 賃貸やマンションの規約を確認する
子供部屋リフォームを検討する際、戸建ではなく賃貸住宅やマンションに住んでいる場合は、物件の規約を確認することが重要です。賃貸住宅やマンションではリフォーム内容によっては契約違反や規約違反となる場合があるため、事前に管理会社等に問い合わせるようにしてください。
分譲マンションであっても、共有部分への影響や構造上の制約があるため、国土交通省のマンション標準管理規約や各マンションで個別に定めた管理規約を確認しましょう。
マンションの場合は近隣への配慮が求められるケースが多いことから、リフォーム工事前に管理組合に申請するのも大切です。リフォームの内容やかかる日数、希望する工事の時間帯を事前に伝え、騒音などで周囲に迷惑をかけないようにしましょう。
3-2. 信頼できる業者を選ぶ
子供部屋リフォームの成功には、信頼できるリフォーム業者選びが不可欠です。まずは子供部屋のリフォーム事例が豊富な業者から探し始めることがおすすめです。
公式サイトやパンフレットなどに過去の施工事例を掲載しているリフォーム会社も多いので、イメージに合ったリフォーム事例を掲載しているかチェックしてください。
希望に合いそうな業者が見つかったら、連絡をとってプランを提案してもらったり、工事価格の見積もりを依頼したりします。その際は、複数の業者と連絡を取ると、内容や価格を比較できて選びやすくなります。
相談や見積もりは無料という業者も多いので、積極的に連絡をとってプロに相談してみることがおすすめです。
まとめ
子供部屋リフォームは、一般的に子供が小学校高学年に達するタイミングで行われます。子供のプライバシーを確保し、親離れできるようにしつつ、家族とコミュニケーションを取りやすい空間を作りましょう。
子供部屋にふさわしい部屋がない場合、間仕切りを取り付けて部屋を作るほかにも、ロフトを使ったり、リビングに小上がりを作ったりすれば子供部屋を確保できます。また、子供が巣立った後に子供部屋を書斎や趣味の部屋として再利用できるよう、将来のことも考えて設計するのがおすすめです。