押入れリフォームの種類と費用相場を解説!注意点やDIYについても

押入れは、日本の住宅や和室における伝統的な収納スペースです。上下2段に分かれた構造が特徴で、布団や衣類、日用品などを収納するのに適しています。しかし、現代の生活様式に合わせて、押入れをクローゼットや書斎スペースにリフォームする需要が増えています。

本記事では、押入れの基本情報、リフォームの種類と費用相場、リフォーム時の注意点について詳しく解説します。押入れを有効活用するためのリフォームアイデアを知り、生活空間をより快適にしましょう。

 

1. そもそも押入れとは?

押入れとは、日本の住宅や和室における収納空間を指します。上下2段に分かれた構造になっており、通常は横長です。上段のさらに上に「天袋(てんぶくろ)」と呼ばれる小さめの収納スペースが付いている場合もあります。

押入れと、洋室の収納空間であるクローゼットとの主な違いは「用途」です。押入れは、布団や日用品、衣類や使わない家具など、さまざまなものを収納することが想定されています。一方、クローゼットは主に洋服や靴などの衣類を収納するスペースです。また、押入れはふすま戸に規格があるので幅が決まっていますが、クローゼットは幅や奥行きを自由に調節しやすいという特徴があります。

 

2. 押入れのリフォームの種類と費用相場

一口に押入れのリフォームと言っても、工事内容はさまざまです。どのようなリフォームをするかによって必要となるコストも変わるので、事前にある程度費用相場を調べ、予算を立てておくことをおすすめします。

押入れのリフォームの種類と費用相場について解説するので、参考にしてください。

 

2-1. ふすま・棚のリフォーム

一般的に、ふすまの寿命は10年程度と言われています。ふすま戸が汚れたり破損していたりといった理由から、交換を検討している方も多いのではないでしょうか。

ふすま本体を新しいものに交換する場合の費用相場は約1~3万円、ふすま紙を張り替える場合の費用相場は約2千~8千円です。ふすまのリフォームはふすま本体やふすま紙のグレードによって変動し、安価なふすま紙への張り替えであれば1枚2千円程度で可能となっています。

また、押入れの「中棚」の取り外しを行うのも手段の1つです。中棚とは押入れを上下に仕切る板のことで、中棚を取り外せば縦長のものも収納可能になります。押入れの中棚をリフォームする際の費用相場は約2~3万円です。

 

2-2. クローゼットにリフォーム

押入れを上手に活用するにはテクニックが必要なため、使用しやすいクローゼットへのリフォームを検討している方もいるでしょう。また、和室を洋室にリフォームする際に、合わせて押入れをクローゼットに変更する方も多い傾向です。

押入れを一般的なクローゼットに変更する工事では、ふすまを扉に交換し、中棚を外して、洋服用のハンガーパイプを取り付けます。一緒に押入れ内の壁や床などを張り替えれば、湿気や結露によるカビの発生を予防することも可能です。

押入れをクローゼット化する際の費用相場は、約8万~25万円になります。押入れをウォークインクローゼットにし、収納スペースをより広く活用したい場合の費用相場は約30万~50万円です。

 

2-3. 書斎スペースにリフォーム

押入れをリフォームし、収納スペースではなく書斎などの作業スペースに変更するというアイデアもあります。読書やパソコン作業などは押入れ分のスペースがあれば十分に行うことができ、既存の室内スペースを圧迫しない点が大きなメリットです。

押入れを書斎スペースにリフォームすると、プライバシーを守れる自分だけの場所や、秘密基地のような空間を作ることもできます。もちろん、あえてオープンで開放的な書斎スペースにすることも可能です。

押入れから中棚を撤去し、床・壁の張り替えや作業机の設置によってシンプルな書斎を作る場合、費用相場は30万円前後になります。加えて収納棚の設置や電源の増設などを行う場合のリフォーム費用の相場は約50~60万円です。

 

2-4. 押入れをなくす

押入れを全く使っていない場合や部屋のスペースを広げたい場合、押入れをなくしてしまうという手もあります。押入れをなくして部屋の一部にする場合の費用相場は約5~20万円です。

ただし、押入れは室内とは違ってしっかりと下地が組まれていないことも多く、部屋の一部にするためには床の補強工事が必要になるケースも少なくありません。押入れだった場所と部屋とをなじませるために壁紙や床材を替える必要もあり、場合によっては部屋全体の内装を改修することもあります。

 

3. 押入れをリフォームする際の注意点

賃貸物件に住んでいる方は、押入れのリフォームができない可能性が高いため注意しましょう。多くの賃貸契約では、物件を原状復帰させることが義務付けられているため、大掛かりなリフォームは基本的に許可されていません。どうしてもリフォームしたい場合は、事前に大家さんや管理会社に相談してください。

持ち家の場合でも、押入れのリフォームをする際にはいくつかの注意点があります。今回は代表的な注意点を3つ紹介するので、あらかじめ確認しておきましょう。

 

3-1. カビ・結露対策を行う

押入れには窓や換気扇がなく、湿気が溜まってカビや結露が発生しやすいという弱点があります。押入れの中にカビが発生した場合、押入れが傷んでいたり、被害が家全体に拡大していたりするケースもあるため注意が必要です。そのため、押入れのリフォームを行う際には、壁の内側に断熱材を入れてカビ・結露対策をするとよいでしょう。

また、窓を設置して換気できるようにしたり、通気性のよいルーバータイプの扉に交換したりといった工事もカビ・結露対策として有効です。

 

3-2. 白アリ被害がないか確認する

押入れのリフォームと合わせて、白アリの被害がないかを確認することも大切です。リフォームの工事を始めると、床下が白アリの被害に遭っていると判明するケースがあります。白アリは日本全国で発生する可能性があり、家の木材を食べてしまう昆虫です。白アリ被害を放置すると、最悪の場合は家の主要構造材が空洞になり、地震などで倒壊しやすくなってしまいます。

家の中に糞が落ちているなどの状況から白アリの発生に気付くケースもあるものの、基本的には床下や壁の中で増殖するため、住人自身で気付くのは難しいです。押入れの床の補強工事は床下に降りて行うため、合わせて白アリ被害がないかをリフォーム会社に確認してもらうとよいでしょう。

 

3-3. 床の補強工事を検討する

押入れは一般的に、人の立ち入りを想定した設計になっていません。押入れをそのままクローゼットや書斎スペースなどにした場合、重量があるものを収納したときや人が足を踏み入れたときに床が抜ける恐れがあります。

特に築年数が経過している家の場合は床が劣化していることも多く、底が抜ける可能性が高いので注意が必要です。押入れのリフォームの際には、人の立ち入りや重さがある家具の設置などを考慮し、床の補強工事を検討するとよいでしょう。

 

4. 押入れリフォームはDIYできる?

簡単な内容なら、DIYで押入れのリフォームをすることは可能です。中棚を取り外すだけであれば、釘抜やバールで釘を抜き、必要があればノコギリを用いるなどしてDIYできます。また、ふすまを外してカーテンレールやロールスクリーンを付けるだけでも部屋の雰囲気が変わり、収納の使い勝手も改善するでしょう。押入れの内部に突っ張り式のハンガーパイプを設置すれば、簡易クローゼット風の収納スペースにすることも可能です。

ただし、押入れのDIYは力仕事で、時間も労力もかかります。また、床の補強やカビ対策など、工程が追加で必要になることも少なくありません。押入れリフォームをより安全かつ確実に行うためには、専門の業者への依頼を検討するのがおすすめです。

 

まとめ

押入れのリフォームは、生活空間を有効に活用するための有力な手段です。ふすまや棚のリフォーム、クローゼット化、書斎スペースへの変更、さらには押入れの撤去まで、多様な選択肢があります。リフォームを行う際には、カビ・結露対策、白アリ被害の確認、床の補強工事などの注意点を押さえることが重要です。

また、DIYでのリフォームも可能ですが、安全かつ確実に進めるためには専門業者の利用を検討することが望ましいです。この記事を参考に、あなたの押入れを最適な形でリフォームし、より快適な住まいを実現してください。