玄関リフォームは、家の外部と内部をつなぐ重要なエリアを改善することで、家の印象や機能性を大幅に向上させる手段です。玄関は訪問者が最初に目にする場所であり、家の顔とも言える存在です。玄関リフォームを通じて、見た目の美しさや快適性の向上、防犯対策の強化、結露や臭いの問題解消など、さまざまなメリットを享受できます。
当記事では、玄関リフォームのメリットに加え、工法・ドアの種類別の工事費用の相場を詳しく紹介します。
1.玄関リフォームのメリット
玄関は住宅の外部と内部をつなぎ、家族や来客者を出迎える重要度の高い場所です。玄関リフォームによってより魅力的かつ快適性の高い空間を作ると、以下のメリットを期待できます。
玄関リフォームのメリット
- 玄関の印象を一新できる
- 防犯対策を強化できる
- 結露や匂い対策を行える
防犯対策を強化したい場合には、ピッキング・サムターン回しの被害を受けにくい鍵に交換する方法が一案です。もしくは、不正解錠を防止できる玄関ドアを採用すると、侵入窃盗被害にあうリスクを軽減できます。
最新式の玄関ドアには、採光性や通風機能にこだわった商品も豊富です。通風機能付きのドアへ交換すれば玄関周りの換気を促し、結露や臭いの軽減を図れます。
2.【工事・工法別】玄関リフォームの費用相場
玄関リフォーム工事にかかる費用は内容や工法によって変化するため、画一的な相場を示すことが困難です。玄関収納を増設したり床の張り替えを行ったりする大掛かりなリフォームでは、100万円を超える費用がかかることも珍しくはありません。天井照明の交換や玄関ドアの塗装メンテナンスといった簡易的な工事の場合、数万円程度の予算で行うことも可能です。
以下では、玄関リフォーム時に実施することが多い鍵交換工事・ドア交換工事を取り上げて、費用の相場を紹介します。
2-1.鍵交換工事
鍵交換工事の費用は、作業費と鍵・シリンダーの本体費用の合計で数万~20万円程度が相場です。玄関ドアの鍵には、鍵穴に鍵を差し込む「シリンダーキー」と電動で施錠・開錠する「スマートキー」があります。シリンダーキーの中では「ロータリーディスクシリンダー」や「ディンプルシリンダー」が、比較的防犯性の高い種類です。
既存のシリンダーキーを防犯性の高いシリンダーキーに交換する工事は通常、数万円以内程度の費用で行えます。シリンダーキーからスマートキーに交換する工事も多くの場合、20万円以内程度の費用で行うことが可能です。
2-2.ドア交換工事
ドア交換工事の費用は、作業費とドア本体価格の合計で20万~50万円程度が相場です。ただし、ドアの種類とサイズを変更する大掛かりな工事では、相場以上の費用がかかるケースもあります。機能性の高いドアを希望し、本体価格がかさむ場合も同様です。
たとえば、高断熱タイプの木製ドアは比較的本体価格がかさみやすい種類にあたります。防火ドアも比較的、本体価格がかさみやすい種類です。
2-3.カバー工法
カバー工法とは、既存のドア枠を残し、玄関ドアのみを交換する工法です。カバー工法でドア交換工事を行う場合の費用は、作業費とドア本体費用の合計で20万~45万円程度が相場と言えます。
玄関ドアをカバー工法で交換する主なメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット | デメリット |
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カバー工法では壁や床を解体せずに玄関ドアの交換を行えるため、騒音が気になりにくい工法です。カバー工法では半日程度で玄関ドアの交換を完了できるケースもあり、日常生活への影響を最小限に抑えられます。
ただし、カバー工法では既存のドア枠を残すことから、開口部分のサイズを広くするリフォームが不可能です。カバー工法では、玄関ドアの横に袖パネルを追加したり片開きドアを引き戸にしたりするリフォームも行えません。
2-4.はつり工法
はつり工法とは、既存のドア枠を解体し、枠も含めて新しい玄関ドアへ交換する工法です。はつり工法でドア交換工事を行う場合の費用は、40万~100万円程度が相場と言えます。
はつり工法にはドアのサイズや位置を一新できるメリットがある反面、カバー工法と比較して工事期間が長引きやすく、費用もかさむ工法です。限定的な予算で玄関リフォームしたい場合は「本当にはつり工法を選択する必要はあるか」をよく考え、他の工法を選択することも検討しましょう。
3.【ドアの種類別】玄関リフォームの費用相場
玄関のドアには開き戸・引き戸の2種類があり、いずれを選択するかによって、リフォーム費用の相場は変化します。それぞれのドアの特徴とリフォーム費用の相場は、以下の通りです。
3-1.開き戸
開き戸とは、前後に開閉するドアのことです。開き戸をより詳細に分類すると、片開きドア・親子ドア・両開きドアなどの種類があります。
片開きドア | 左右のいずれかに開閉するスタンダードな玄関ドア |
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親子ドア | メインで使用する親扉・必要に応じて開閉できる小扉の2枚を設置する形状で、大きい荷物の搬入に便利な種類 |
両開きドア | 2枚のドアを左右対称に開閉できる形状で開口部分が広く、バリアフリー対応の玄関に適した種類 |
引き戸を片開きドアに交換する工事の費用は、20万~45万円程度が相場です。親子ドアや両開きドアへ交換する工事は片開きドアと比較して高額になることが多く、50万円程度以上の費用がかかる可能性もあります。
3-2.引き戸
引き戸とは、レールに沿ってドアを左右のいずれかにスライドし、開閉を行うドアのことです。引き戸を交換する際には通常、20万~70万円程度の費用がかかります。引き戸の交換と合わせて玄関の間口を広げる工事や開き戸から引き戸へ交換する工事は高額になることが多いため、予算に応じた計画が必要です。
「引き戸は開き戸と比較して防犯性が低い」と考える人もいるものの、近年ではピッキング・こじ破り対策を強化したタイプの引き戸もあります。ただし、防犯性に配慮した引き戸は重量がかさみやすく、開閉時に重く感じる可能性がある点には注意しましょう。
4.玄関リフォームの価格を抑える方法は?
玄関リフォームに関する正しい知識を持って計画的に行動すれば、限られた予算で十分に空間の魅力を高めることが可能です。以下では、玄関ドアや鍵の交換にかけられる予算が限られている方に向けて、玄関リフォームの価格を抑える方法を紹介します。
・優先順位を決めておく
玄関リフォームで解決したい課題や要望が複数ある場合には優先順位を付け、工法やドアを選択する際の基準にしましょう。
・補助金制度を活用する
「両親の介護目的で開き戸を引き戸に変更する」など一定の条件を満たすリフォームを行う場合、補助金を利用できる可能性があります。長期優良住宅や断熱リフォームを対象とした補助金もあるため、概要を確認した上で利用を検討しましょう。
出典:国立研究開発法人 建築研究所「令和6年度長期優良住宅化リフォーム推進事業」
出典:公益財団法人北海道環境財団「【全国対象】既存住宅の断熱リフォーム支援事業」
国・自治体や各種団体が運営する補助金制度の多くは、予算や申請期限が決まっています。補助金を利用する前提でリフォームを検討する場合は詳細を事前に詳細を確認し、早めに行動することがおすすめです。
5.玄関リフォームを成功させるポイント
玄関ドアや鍵を一旦交換してしまうと、すぐに元通りに戻すことは困難です。玄関リフォームの失敗を回避するためには以下のポイントを意識して、計画的にリフォームしましょう。
・玄関ドアの素材にこだわる
玄関ドアの素材により、空間の印象や性能は大きく変化することが通常です。好みのデザインテイストや希望する生活スタイルに応じて素材選びにこだわり、玄関ドアを選択すると、理想に近いリフォームを行えます。
・玄関リフォームが得意な業者に相談する
リフォーム業者にはそれぞれ、得意分野と苦手分野があります。玄関リフォームの実績が多く、口コミ評価も良い業者に工事を依頼すれば、成功率を高めることが可能です。
玄関リフォームで交換したドアの劣化を防止し、長持ちさせるためには、十分なアフターケアも欠かせません。引き渡し後のアフターケアを約束してくれるリフォーム業者と契約すれば、事後のトラブルが発生した際にも安心です。
まとめ
玄関リフォームには鍵交換やドア交換、カバー工法やはつり工法といったさまざまな方法があり、それぞれに異なる費用とメリットがあります。予算内で効果的なリフォームを実現するためには、工事内容の優先順位を明確にし、補助金制度の活用を検討することが重要です。
また、リフォームの成功には、玄関ドアの素材やデザインにこだわり、信頼できる業者を選ぶことも欠かせません。玄関リフォームを通じて、安全で快適な空間を作り上げることで、家全体の魅力を高めることができます。リフォーム後のメンテナンスも考慮し、長期的な視点で計画を立てることが、満足のいくリフォームの鍵となります。